JR東日本盛岡支社をはじめ4社は、青森県の津軽半島で実施しているデマンド型乗合タクシー「わんタク」の実証実験を2023年4月以降も継続し、サービス内容を拡大して利便性の向上を図ります。
大雨被害で蟹田〜三厩間の不通続く
観光にも日常生活にも便利な交通手段として2022年7月から運行を開始した「わんタク」ですが、期間が1年間延長され、2024年3月末まで継続してサービス提供されます。実証実験にはJR東日本スタートアップ(東京都港区)、電脳交通(徳島市)、奥津軽観光(青森県中泊町)も参画しています。
運行エリアは今別町・外ヶ浜町にまたがる津軽線の蟹田駅周辺から龍飛崎周辺までの範囲で、電話またはインターネットであらかじめ配車予約して利用する乗合タクシーです。駅や商店、医療機関、観光施設など、エリア内であれば乗降場所を自由に設定できるのが特長です。
運賃は乗車距離を問わず定額で、現金のほか、Suicaなどの交通系ICカードやクレジットカード、QRコード決済での支払いにも対応します。営業時間はこれまで10時〜16時でしたが、2023年4月1日(土)からは前後に各1時間拡大して9時〜17時となり、生活の足としてより利用しやすくなります。
ちなみに「わんタク」とは「わんどのタクシー」の略で、「わんど」とは津軽弁で「私たち」を意味する言葉です。
なお、JR津軽線の蟹田駅〜三厩駅間は2022年8月の大雨による線路設備被害の影響で不通となっており、現在もなお復旧の見込みが立っていません。この区間のきっぷや定期券をお持ちの方は、各駅間で「わんタク」による振替乗車を利用することができます(「わんタク」の運行エリア地図、「わんタク定時便」「津軽線代行バス」の運転時刻など詳細は下の図表を参照)。
新幹線と観光地をつなぐ「わんタク定時便」
デマンド交通の「わんタク」に加え、2023年4月1日(土)からは新たに定時・定路線タイプの「わんタク定時便」が運行を開始します。蟹田駅以北の各駅に加え、観光名所の「龍飛埼灯台」「大平山元遺跡」に停車するルートに1日3往復設定されます。
いずれも日中時間帯の運行で、蟹田駅で青森駅方面の津軽線、奥津軽いまべつ駅で北海道新幹線との接続が考慮されています。路線バスのように毎日定時に運転するため、世界遺産に認定された縄文遺跡群や、龍飛崎エリアの「階段国道」「青函トンネル記念館」などを巡る旅行の計画が立てやすくなります。
「わんタク定時便」は時刻表に沿って各乗降場所に必ず停車するほか、予約で利用する場合は指定場所での乗り降りも可能です。予約なしでも利用できますが、定員に限りがあるため、事前に予約して利用する方が安心です。
現在、予約なしで利用できる定時運行タイプの「わんタク」が蟹田駅〜三厩駅間で1日2往復、津軽線からの振替乗車のために運行しています。新生「わんタク定時便」はこの発展形で、1往復の増便とともに運転区間も龍飛崎まで延長され、観光での利用をより意識した設定となります。
ほかにも津軽線代行バスが朝夕時間帯に1日3往復設定されており、日中は「わんタク」「わんタク定時便」が補完することで不通区間の振替輸送が続けられます。